僕がはじめてAIの凄さに触れたのは、今から10年ほど前のことです。
囲碁の世界チャンピオンがAIに敗れた、あの出来事でした。
囲碁のコンピューターは、15年ほど前までは正直かなり弱く、当時の僕が高熱の寝起きで鼻をほじりながらでも勝てるくらいでした。
前述した通り、僕は学生時代、県大会で優勝する程度には囲碁を打っていましたが、その僕がまったく歯が立たない友人(後にプロ棋士になりました)がいます。さらにその友人が歯が立たないトップ棋士がいて、その頂点にいるのが世界チャンピオンです。
そんな世界チャンピオンを、
AIがたった数年で追い抜いてしまった。
これはもう、驚異的としか言いようがありませんでした。
さらに数年後、AIが少しずつ身近な存在になってきた頃のことです。
僕が東京大学の数学の過去問を解いていたとき、どうしても分からない計算の変形がありました。
試しにAIに聞いてみたところ、とんでもなく分かりやすい解説が返ってきました。
感動すると同時に、正直「これはヤバいな」と思いました。
将来的に、塾講師の仕事はなくなるか、
少なくとも大きく形を変えるだろう、と。
実際、ある程度以上勉強できる中学生や高校生であれば、AIをうまく使うことで、そこらの個別指導講師の授業と同程度、あるいはそれ以上の理解が得られてしまいます。
そんな時代が来ると感じました。
ただし、AIにはまだ隙もあります。
発展途上である以上、誤った説明をすることもありますし、そもそも勉強が苦手な子どもたちは、土台となる理解がなかったり、AIの使い方そのものが分からなかったりします。
そこで必要になるのが、人とAIをつなぐ存在ではないかと考えるようになりました。
正直に言えば、悔しい気持ちもあります。
AIに負けたくない、という思いもあります。
ですが、15年以上の個別指導の経験を持つ人間が、AIを道具として使いこなしたらどうなるだろう、とも思いました。
僕の経験とAIを組み合わせれば、一人ひとりに対して、これまで以上に質の高い指導ができるのではないか。
そう考えたとき、
AIはライバルでもあり、同時に相棒でもある、
そんな存在になりました。